
明らかだった、その何かを見透かしたような目。ガラス玉のような目には、自分の視界に入ってくる事象への執着や感情を動かされるような動きは全くなかった。素朴にとても綺麗な、そして深い知性を浮き彫りにしている目だった。私が最初に発した言葉は、`あの、こんなところで座っているような器の人には見えないんですが、何をしてるんですか?`と質問してみた。
当時の私は、ロンドンに住み始めてまもなく、夢にまでみた芸大に通い、頭の中は希望で風船のように膨らんでおり、(若かったなあ。。。ほんとに。。単純で。。何でも出来るような気がしていた頭でっかち直感型の頃。)見かける人や物事で気になることには、なんでもスケッチをしたり、写真に収めたり、分析したりしていた。
`僕はね、人間の本当の姿が視たくて、こうしてるんだよ。本当の姿がよく見えるんだよ、こうしてここに座っていると。`
彼は、他のホームレスとは違い、`お金ください`というプラカードもぶら下げておらず、お金を頼んでいる姿も一度もみたことがない。(私は、実は、何度もその辺りを通るたび、彼の存在を観察していた。ストーカーといわれようが、気になるものは気になっていた。)
本当にただ座って、前を見つめているだけだった。
`私が先にマスク(仮面)を脱がないと、例えば会社員が来ているスーツとか、自分の社会地位の状況を外見で判断できる物を脱がないと、他の人々のマスクを外した姿も見えないんだよ。`
ほんとだった。
彼に普通に話しかけてくるそばのレストランの従業員とかももちろんいたけど、上品そうな身なりをしていても、かなり失礼な態度で、`そんな所に座ってたら邪魔なんだけど`と邪見に扱う人もいた。
私は、どんどんいろんな質問をしたかったし、質問した。
`自分で経験しないとね。`とだけ、彼はいった。
‘Time Capsule’ タイムカプセル アートセラピー ワークショップ
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