手はうそをつかない。
積み重なるものがそこに表現されているから。まるで、独立した意志が、手という部分にあるかのように。言葉巧みな頭や、気まぐれな心の流れとはまた別な身体の一部、あなたの一部として。ふと、自分の手を眺めて見る。いつの間にか、時間が経っていることを確認するように。
私の大学での先生の中に、眉間の皺が渦の形状になっている先生がいた。こんな「思考」にどのくらいの時間、年月を過ごしたのだろう?と質問したくなるような皺が顔に現れていることで、私は、彼の手にも興味を持った。
彼は、大学の教授になる前は、建築家であり、家具のデザイナーでもあった。分厚い肉厚のごつごつした職人気質の手をいまでもはっきり覚えている。
彼はよく言っていた。
「身体ですべて覚えてね。たとえミリメートルの微差の違いだったとしても、身体で居心地の良い寸法というのを体にたたきこむのだよ!」
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