
私のもとに暫くの間あった天然石。小さな親指くらいの大きさの深い青色の石。
この石は、旅する石だった。いつから始まり、本来どこから来ているものかさえ知らなかった。
誰かが思いついた小さな発想だったかもしれないし、当初は、友情の印として渡されたものなのかもしれない。そうした事情を一切聞くことが出来ず、私のもとにやってきたので、想像がますます膨らむ。
私のもとには、ロンドンで一時期親しくしていた友人の手より届いた。この石を手にしていると、喉のオーラが浄化され、表現力が豊かになったり、心の中に深く埋められていた本当の感情が出てくる、とかそんなことを言われた。
その友人も他の友人からもらったそうだ。また、その友人も他の旅をしていた知人にもらい、そうして、石は旅をし、人をつなげるように動いていた。
私は、その石をどうしたか?
当初、頂いた時は、石を誰かに手渡す時期がきたら、石が選んだ人に渡そうと考えていた。
5年前、長い海外生活が終わり、日本に帰国し暮らしはじめたアパートのそばには、古い神社があり、裏手の庭には、大きな池があった。よくそこを散歩した。池の水の表面に反映された森が季節の変わり目や、日々の移り変わりを表現してとても綺麗だった。ふとある日、そんな水面を見つめていた時、石がここで休みたいといっている気がした。なので、素直に石を池に入れて、旅の疲れがあったのかもと思い、手を合わせた。
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